
相続や建て替えをきっかけに、未登記建物の売却を検討する方も多いのではないでしょうか。登記されていない建物でも売買は可能ですが、住宅ローンが使えなかったり、契約や税務処理に手間がかかったりといった注意点があります。
売却をスムーズに進めるために、未登記である影響を正しく理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。この記事では、未登記建物の3つの売却方法を解説します。さらに、注意点や登記手続きの流れについても理解できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
未登記建物を売買する3つの選択肢
未登記建物の売却には、大きく分けて3つの方法があります。選択肢によって、必要な手続きや費用などが大きく異なるため、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。住宅ローンの利用可否や契約・税務上の負担も変わるため、売却をするまでに特徴を把握しておきましょう。
未登記のまま売却する
未登記建物でも、売買契約書の特約に「未登記であること」を明記すれば、売却は可能です。売買契約が成立し、買主が登記申請や固定資産税の申告などを行う流れとなります。登記しない場合は、市役所に「未登記建物所有者変更届」を提出しましょう。
引き渡し後に行われる登記申請や固定資産税の納付については、事前にどちらが対応・負担するかを売主と買主で合意しておくことが重要です。ただし、住宅ローンが利用できないため現金購入者に限定され、個人への売却が難しい点がデメリットといえます。親族間や専門の不動産業者を対象に、検討されるケースが多い選択肢です。
登記を済ませてから売却する
登記を済ませておくことで、購入希望者の選択肢が広がり、スムーズな取引につながります。建物が登記済みであれば、買主が住宅ローンを利用できるようになり買い手の幅が広がります。さらに、契約や税務処理もスムーズになり、トラブルのリスクも抑えられるでしょう。
手続きとしては、まず建物の表題登記を行います。その後に所有権保存登記も実施するため、土地家屋調査士や司法書士への依頼が必要です。手続きに費用が発生しますが、売却の可能性を広げるために効果的な選択肢と言えます。
建物を解体して土地のみ売却する
未登記建物を解体し、土地だけを売却する方法も有効です。建物の登記も不要になり、買主にとっては建築や活用のイメージを持ちやすくなるため、個人にも売却しやすくなります。買主が住宅ローンを利用できることも、売却活動において大きなメリットです。
ただし、解体後には「家屋滅失届」の提出が必要となり、住宅用地特例が外れることで固定資産税が増える可能性もあります。土地の売却益が解体費用を上回るかどうかは、事前に試算しておきましょう。
売却価格から解体費用を差し引いたうえで、十分な利益が見込めるかを事前に試算しておくと安心です。売却価格が適正で、解体費用を差し引いても利益が見込める場合は、幅広い買主にアプローチできる選択肢となるでしょう。
未登記建物の売買における3つの注意点
未登記建物の売却では、取引の進め方だけでなく、事前に把握しておくべき注意点もあります。登記がされていないことで、買主が住宅ローンを利用できなかったり、所有権を法的に証明できなかったりと、登記済み物件とは異なるリスクが発生するためです。ここでは、未登記建物を売却するときの3つの注意点を解説します。
住宅ローンが組めず買主が見つかりにくい
未登記建物は法的な裏付けがないため、金融機関が担保として評価できず、住宅ローンの対象外となるのが一般的です。そのため、現金一括で購入できる買主に限られ、売却先の幅が大きく狭まります。
さらに登記がされていないことにより「手続きに不備がある物件」と判断されるため、検討段階で敬遠されることもあります。登記済みの物件と比べて、手続き面でも心理的にもハードルが高くなりやすいのが特徴です。売却をスムーズに進めるには、事前に登記を済ませて融資を利用できるようにすることで、買主の選択肢を広げられるでしょう。
所有権のトラブルに巻き込まれるリスクがある
建物が未登記の状態では、法的に所有者としての権利を証明することができません。たとえ実際に建物を使用・管理していたとしても、第三者が先に手続きを済ませると登記上の権利が優先され、所有者であることを主張できなくなる恐れがあります。
特に、親族間で相続が発生していたり、長期間放置されていたりする場合には注意が必要です。登記簿に名前がない状態では、売主としての権利を主張できず、売買契約が無効と判断されるケースもあります。こうしたトラブルを防ぐためには、事前に表題登記や所有権保存登記を行い、権利関係を明確にしておくことが重要です。
契約や税務処理に関する実務上の負担が増える
未登記建物を売却する際は、契約書に「未登記物件であること」を明記し、登記未了に関する特約として記載する必要があります。一般的な売買契約よりも確認事項が多く、契約書の作成や締結には慎重な対応が求められます。
さらに、登記が未了のまま引き渡した場合は、買主が速やかに登記申請を行える体制を整えることも重要です。登記が完了していないと、固定資産税の納税通知書が旧所有者のもとに届くケースがあり、誤って納付してしまうリスクもあります。
また登記を怠ると、不動産登記法に基づき過料が科される可能性があるため、売却後も注意が必要です。登記されている物件と比べ、売買後の実務対応に手間がかかることを理解しておきましょう。
未登記建物の売買に向けた登記手続きの流れ
未登記建物を売買する場合、表題登記や所有権保存登記などの手続きを経て、法的に建物の存在と所有者を明らかにすることが重要です。特に一般の買主に売却する場合は、住宅ローンの利用や契約手続きを円滑に進めるためにも、事前に登記を行った方が良いケースがあります。ここでは、売買を行ううえでの登記手続きの流れを解説します。
登記されていないことを確認する
まずは、その建物が本当に未登記であるかを確認することが重要です。登記の有無は、法務局の「登記情報提供サービス」で調べられます。対象となる建物の登記簿が存在しない場合は、表題登記が未了であると考えられます。
未登記となっている背景には、新築後に登記手続きを行わず放置されてきた場合や、相続や増改築のタイミングで登記されないまま利用されてきたケースもあります。こうした背景を把握することで、必要な手続きや書類などをスムーズに準備できるでしょう。
必要書類を揃える
未登記建物の登記には、表題登記と所有権保存登記のそれぞれに必要な書類があります。表題登記には、建物図面や工事完了引渡証明書のほか、所有者の住民票や印鑑証明書などが求められます。建築時の確認済証や検査済証も必要になることがあるため、事前に調べておくと安心です。
所有権保存登記では、登記申請書や住宅用家屋証明書などが必要になります。書類を紛失している場合でも、役所にて再発行・再取得することが可能です。書類が足りなかったり、不明点があったりする場合は、土地家屋調査士や司法書士などに相談しながら、準備を進めましょう。
建物表題登記を行う
表題登記は、建物の所在や構造などを法務局に登録する手続きで、所有権保存登記に先立って行います。測量や図面の作成といった専門的な作業を含むため、通常は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。申請は建物所在地を管轄する法務局に対して、持参または郵送で行います。
費用の目安は5万〜10万円程度で、登記完了までには1〜2週間ほどかかります。完了後には登記識別情報が発行され、建物の基本情報が確認できるようになります。売却に向けた準備として、早めに手続きを進めておきましょう。
所有権保存登記を行う
所有権保存登記を完了させることで、自分の所有物として法的に保護され、売却時にもスムーズな取引が可能になります。所有権保存登記は、司法書士に依頼して手続きを進めるのが一般的です。
必要書類には、登記申請書や住宅用家屋証明書などがあり、登録免許税も発生します。税額は建物の固定資産評価額×0.4%で計算されます。登記が完了すると、所有者情報が登記簿に記載され、住宅ローンの利用や契約書作成にも対応することが可能です。安全で確実な売却を目指すうえで、所有権保存登記は欠かせない手順といえるでしょう。
未登記建物の売買に不安がある方は松屋不動産販売にご相談ください
未登記建物は、法的な手続きや買主との調整が複雑になりやすく、個人で進めるには不安を感じる方も多いです。特に住宅ローンが使えなかったり、トラブルにつながりやすかったりするため、売却には専門的な知識が必要となります。
松屋不動産販売は、未登記建物を含む複雑な不動産の売却においても豊富な実績があります。静岡エリアを中心に、多数の取引経験を活かし、それぞれの事情に合った最適な売却方法をご提案いたします。
「登記がないけど売れるのか心配」「そもそもどこから始めればよいのかわからない」とお悩みの方も、お気軽にご相談ください。状況の整理から売却手続きまで、経験豊富なスタッフが丁寧に寄り添いながら進めていきます。
まとめ:未登記建物の売買は売却方法と注意点を押さえて進めよう
未登記建物でも売却は可能ですが、法的手続きや契約条件など、通常の不動産売買とは異なる注意点があります。表題登記や所有権保存登記を行えば、一般の買主にも売却しやすくなりますが、登記にかかる手間や費用も踏まえて判断することが大切です。
また、登記せずに売却する方法や、建物を解体して土地のみを売る選択肢もあります。それぞれの方法にメリットやリスクがあるため、所有物件の状況や希望条件に応じた判断が求められます。
「どう進めてよいかわからない」「登記のことが不安」と感じた場合は、静岡県で豊富な売却実績がある松屋不動産販売にぜひご相談ください。松屋不動産販売は地域密着型の不動産会社で、経験豊富なスタッフが状況の整理から手続きの進め方まで丁寧にサポートいたします。