
親から土地を相続したものの、固定資産税や将来のトラブルを避けるため、すぐに売却を検討する方は多いのではないでしょうか。一方で特に遠方に住んでいたり、相続人が複数いたりする状況下で、判断に迷う方もいます。
このような悩みを抱えている方に向けて、本記事では相続した土地をすぐに売却することで得られる5つのメリットを解説します。確認すべきポイントや土地を売却できるかどうかの判断基準も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
相続した土地をすぐ売却できるかどうかの判断基準
土地を相続したら、すぐに売却できる訳ではありません。売却を進めるためには、名義変更や相続人同士の合意を得ることが必要です。必要な手続きが完了していないと、売却の機会を逃してしまう可能性もあります。
そのため、相続した土地を売却できる状態かどうかを確認しておくことが重要です。ここでは、売却する前にチェックすべき判断基準を解説します。
相続登記が完了しているか
相続登記とは、不動産の所有者を被相続人から相続人に名義変更する手続きです。相続した土地をすぐに売却するには「相続人が誰か」を確定する必要があるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集します。
登記を行うには、被相続人の出生から死亡までの戸籍や遺産分割協議書など複数の書類が必要です。登記が完了していなければ、たとえ話し合いで決めていても、法的にはその土地を売却できません。申請から完了までに数週間かかることもあるため、売却を急ぐなら早めの準備が重要です。
遺産分割協議が終わっているか
相続した土地をすぐに売却するには、遺産分割協議が完了している必要があります。特に複数人で相続した場合、土地は「共有名義」となり、誰か1人の意思だけでは売却できません。
相続人全員で「誰がどの財産を相続するのか」を話し合い、合意内容を遺産分割協議書としてまとめる必要があります。もし相続人の中に連絡が取れない人がいたり、意見が対立していたりすると、協議が長引き売却のタイミングを逃す恐れがあります。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判に発展し、売却手続きを始められるまでに数年かかることもあるため注意が必要です。相続が発生したら、なるべく早い段階で相続人同士で連絡を取り合い、協議を進めることがスムーズな売却につながるでしょう。
相続した土地をすぐ売却する5つのメリット
相続した土地は、活用の予定がないまま所有していると、税金や管理の負担が続いてしまいます。早めに売却を進めれば、経済的・心理的な負担を軽減できるほか、親族間のトラブルを回避することも可能です。ここでは、相続した土地をすぐ売却する5つのメリットを解説します。
税金や維持費の負担を抑えられる
相続した土地は所有している限り、固定資産税や都市計画税といった税金が毎年発生します。さらに空き家や空き地のまま放置すると、草刈りや清掃といった管理費用だけでなく、火災保険や地震保険などの保険料の負担も生じます。
収益を生まない土地であれば、税金や保険料などの維持費が家計を圧迫し続ける原因になるでしょう。早めに土地を売却することで、税金や維持費の発生を抑えられ、老後資金や教育費など目的に応じた資金の有効活用が可能になります。
資産を現金化できる
土地は保有していても、時間の経過や地域の需要低下によって資産価値が下がる可能性があります。特に地方や利便性の低いエリアでは、売却価格が下落するリスクも高くなるでしょう。また地方や古家付きの土地は、買い手を探すのが難しくなる傾向があるため注意が必要です。
相続後すぐに売却を進めれば、現在の市場価値で現金化できる可能性が高くなります。売却で得た資金は、老後や生活費の備えとして活用でき、将来への不安を軽減するのに役立ちます。
相続トラブルや親族間の争いを防げる
相続した土地を共有名義で保有していると、売却や管理の判断をめぐって親族間で意見が食い違うことがあります。例えば、一部の相続人が売却を望んでも、他の相続人は残したいと主張し、話し合いが長引くケースも多いです。
このまま次の世代へと相続が進めば、関係者の数も増えて利害が複雑化し、さらに調整が難しくなります。相続後すぐに売却して現金化しておけば、公平に分配しやすくなるため、トラブルの回避につながるでしょう。家族間の関係悪化や精神的なストレスを防ぐためにも、おすすめの選択肢です。
特例制度を活用することで税金を抑えられる
相続した土地を早めに売却すると、税負担を軽減できる特例制度が利用できる可能性があります。例えば「取得費加算の特例」があり、支払った相続税の一部を土地の取得費に加算できるため、売却時の利益(譲渡所得)を減らして譲渡所得税を抑えられます。
また「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除」も条件を満たせば利用可能です。例えば被相続人が一人暮らしで亡くなった空き家であることや、耐震リフォーム済み、もしくは取り壊し済みであることが主な要件です。
これらの制度には申請期限や条件が細かく定められており、売却のタイミングによって適用可否が左右されます。早めに専門家へ相談し、特例が使えるかを確認しておきましょう。
管理の手間がなくなる
相続した土地が空き地や空き家のまま残っていると、定期的な草刈りや清掃などの管理作業が必要になります。特に遠方に住んでいる場合は、現地に足を運ぶ時間や交通費もかかり、大きな負担と感じるでしょう。
管理が不十分だと「雑草が伸び放題」「不法投棄があった」などと近隣住民から苦情が入り、最悪の場合は自治体から草刈りの要請など改善勧告を受けることもあります。すぐに土地を売却すれば、こうした管理の手間やトラブルの不安から解放されます。土地を早めに手放せば、生活設計や老後の資金計画にも気持ちの余裕を持って向き合えるようになります。
相続した土地をすぐ売却するときに確認すべき5つのポイント
相続した土地をすぐに売却したいと考えても、実際に売却手続きを進めるには、いくつかの重要な条件を満たしている必要があります。税制特例の適用には期限があり、知らないままでは損をしてしまうこともあります。ここでは、相続した土地をすぐ売却するときに確認すべき5つのポイントを解説します。
相続登記を終えていないと売却できない
相続した土地を売却するためには、まず相続登記を行い、所有権を自分の名義へ移す必要があります。相続登記を済ませていない場合、不動産の名義は被相続人のままとなり、たとえ買い手が見つかっても売買契約を締結できません。
相続登記には、以下のような書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の戸籍
- 遺産分割協議書
申請から登記が完了するまでに数週間かかることもあるため、売却を急ぐ場合は早めの準備が重要です。2024年4月からは相続登記が義務化され、放置した場合は10万円以下の過料の対象になる可能性もあります。そのため、売却を検討しているなら早めに登記手続きを済ませておくと安心です。
「取得費加算の特例」で譲渡所得税を軽減できる
相続した土地を売却する際には、譲渡所得に対して税金が発生しますが「取得費加算の特例」を活用することで税負担を軽くできる可能性があります。この特例では支払った相続税の一部を取得費に加算できるため、譲渡所得額が減ることで、結果的に納める税額を抑えられる場合があります。
たとえば本来の取得費が少なく売却益が大きくなりそうな場合でも、相続税額を加えることで譲渡益を圧縮でき、結果として税額が抑えられるでしょう。ただし、適用には「相続開始があった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却する」などの条件が細かく定められているため、事前に確認することをおすすめします。
特例は期限を過ぎると適用できなくなることがある
相続した土地の売却では、税金を軽減できる複数の特例が用意されていますが、多くの制度には適用期限が設けられています。たとえば「取得費加算の特例」は、相続開始から3年10ヶ月以内の売却が条件です。「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」も、売却時期や建物の状態によって適用可否が変わります。
期限を過ぎてしまうと特例が使えなくなり、結果的に税負担が大きくなる可能性があります。まずは、自分が使える特例と期限を把握し、余裕を持って売却スケジュールを立てましょう。
古家付き土地は更地にせずに売るほうが有利な場合もある
相続した土地に古家がある場合でも、解体しない方が有利な場合もあります。たとえば、古家を解体すれば更地としての売却は可能です。ただし、その場合は解体費用がかかり、固定資産税の軽減措置が受けられなくなります。
また「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」は、建物を解体したうえで土地を売却するか、一定の耐震改修を行うことで適用が可能です。地域によっては、古民家としての再利用を希望する買主もいます。建物が残っていることで価値が見いだされることもあるため、売却前に「特例が使えるかどうか」や買い手のニーズを調べておきましょう。
共有名義の土地は全員の同意がないと売れない
相続人が複数いる場合は、土地が共有名義になっているケースが一般的です。共有名義のままでは、自分だけの判断で土地全体を売却することはできません。たとえ「すぐに売りたい」と思っていても、売却には他の共有者の同意が必要です。
持分のみを単独で売却することは法律上可能ですが、買い手がつきにくく、現実的な選択肢とは言えません。スムーズな売却を目指すなら、早めに遺産分割協議を行い、単独名義に変更するか、共有者全員で方針をまとめておくことが重要です。トラブルを防ぐ意味でも、不動産会社や司法書士への相談を早めに行いましょう。
相続した土地の取り扱いに悩んだら松屋不動産販売にご相談ください
相続した土地について「すぐに売るべきか迷っている」と悩む方は多くいらっしゃいます。共有名義や古家付きの土地など、状況によっては判断が難しく、放置しているうちに税制特例の期限を逃してしまう可能性もあるため注意が必要です。
松屋不動産販売では、静岡県に根差し、売買や賃貸の仲介・不動産管理・リフォームなどを多数展開しています。地域に密着した情報力と多くの売却相談に対応してきた経験を活かしたご提案が可能です。また、不動産ポータルサイトや地域ネットワークなど複数のチャネルを活用し、購入希望者と効率よくマッチングを図れる点も強みです。
「まだ売るか決めていない」「売れるかどうかだけでも知りたい」という段階でも問題ございません。専門知識を持つスタッフが丁寧に対応いたしますので、お気軽に松屋不動産販売にご相談ください。
まとめ:土地を相続したらすぐ売却できる状態か確認しよう
相続した土地は、状況によってはすぐに売却したほうが有利なケースもあります。ただし、名義の状況や税制特例の適用可否など、確認すべきポイントは多岐にわたります。早い段階で現在の状況を整理すれば、売却に向けた準備をスムーズに進められるでしょう。
相続の手続きや売却活動を放置してしまうと、特例制度を受けられなくなるリスクもあるため、できることから対応していくことがおすすめです。もし「何から始めればよいか分からない」と感じたときは、まずは、相談や査定が無料の松屋不動産販売を活用してみてください。