
古家付き土地の売却では、建物の扱い方や契約内容によって、価格や手続きに大きな差が生まれます。特に契約不適合責任や、境界の不明確さなどの問題は、売却後のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。
そこでこの記事では、古家付き土地を売る際の6つの注意点を解説します。売却方法ごとの特徴・対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
古家付き土地には建物の経済的価値がない
築年数が大幅に経過し、建物としての資産価値がほとんど残っていない住宅がそのまま残された状態を「古家付き土地」といいます。このような物件では、評価の対象は建物ではなく、あくまで土地部分です。購入を検討する側も、多くは建物を利用するつもりはなく、解体して更地にしたうえで建築や活用を行うことを前提としています。
再建築不可であったり接道義務を満たしていなかったりする土地、または未登記建物がある場合は、法的な制約が売却価格やスピードに大きな影響を与えることが多いです。また、買主は建物の解体費や諸手続きの負担を加味して、価格交渉を進めてくる傾向が強く、実際の売却額は土地相場を下回るケースもあります。
古家付き土地の売却では、現況の建物に価値を見出さず、土地の条件や地域特性が価格決定の重要な要素となります。その点を理解したうえで進めることが、納得のいく売却につながるでしょう。
古家付き土地を売却する際の6つの注意点
古家付き土地の売却には、通常の土地売却とは異なる注意点があります。事前に確認や対応をしておかないと、売却後にトラブルへ発展する場合もあります。ここでは、売主が古家付き土地を売却する際の6つの注意点を解説します。
契約不適合責任による補償リスクに備える
古家付き土地の売却では、建物が老朽化していても現状のまま引き渡されることが一般的で、価格評価の対象はあくまで土地部分となります。それでも、建物に雨漏りやシロアリ被害などの不具合があった場合、売却後に売主が「契約不適合責任」を問われる可能性もあるため注意が必要です。
こうしたトラブルを防ぐには、契約書に「現状有姿」での引き渡しとし、契約不適合責任を免責とする特約を明記しておくことが重要です。不動産会社や司法書士と相談しながら、双方が納得できる契約内容に整えておくことで、売却後の補償リスクを大きく減らせます。
残置物処理に関する買主とのトラブルを回避する
家具家電や生活雑貨などの「残置物」がそのまま残っていると、買主との間でトラブルになるケースがあります。現状での引き渡しとして売買契約を交わしたつもりでも、処分費用をどちらが負担するかが明確でなければ、買主の不信感を招く場合もあります。
売主側で片づけが間に合わず、引き渡しが予定より遅れてしまうと、スケジュール全体に支障が出るため注意が必要です。また不用品の処分には想定以上の費用がかかることもあるため、事前に見積もりを取り、必要に応じて業者に依頼するなどの準備が大切です。売却前に残置物をすべて整理しておくことで、買主に安心感を与え、スムーズに取引できるでしょう。
境界や越境がないか確認する
土地の売買では「どこまでが自分の所有地なのか」を明確にしておくことが重要です。境界が曖昧なままだと、買主が購入後に再建築や整地をしようとしても、隣地とのトラブルや工事の遅延につながる恐れがあります。
古家付きの土地では、塀や樹木が隣地に越境していることに売主自身が気づいていないケースもあります。古い土地では境界標が紛失している場合もあるため、測量をせずに売却してしまうと、後から思わぬ費用や対応が必要になることがあります。
トラブルを未然に防ぐためには、売却前に土地家屋調査士に相談し、境界を明示しておくことが重要です。境界が明確になっていることで、買主に不要な不安や疑念を抱かせず、円滑な売却につながるでしょう。
未登記建物がない状態にしておく
古家付き土地の売却では、敷地内に未登記の建物が存在しないかを事前に確認しておくことが大切です。未登記建物があると、買主が住宅ローンを利用できない場合があり、売却活動そのものに大きな支障をきたす可能性があります。
売主自身が未登記であることに気づかず、契約後に発覚して手続きが滞るケースも見受けられます。登記簿上の情報と現況に相違があると、所有者や権利関係の確認に時間と手間がかかり、買主が不安に感じてしまうでしょう。
さらに、相続登記が未了で名義が被相続人のままの場合、売買契約自体が成立しない場合もあります。安心して売却を進めるためにも、早い段階で法務局や司法書士に相談し、必要な登記を完了させておくことが重要です。
再建築不可物件の場合は必ず説明する
古家付き土地のなかには「再建築不可物件」として、建て替えに制限があるケースも存在します。これは、建築基準法上の接道義務を満たしていないため、既存の建物を取り壊してしまうと、原則として新たに建て直すことができなくなる点が特徴です。
買主が再建築不可だと知らずに物件を購入し、あとから建てられないと知ってトラブルになる事例もあります。再建築ができない土地は、用途が限られるため希望者が絞られ、結果的に資産価値も低くなる傾向があります。
売主としては、都市計画法や建築基準法などの規制をしっかりと理解し、再建築の可否について調査しておくことが重要です。そのうえで重要事項説明書にも記載し、買主に誠実な説明を行うことが、後のトラブル回避にもつながります。
近隣住民からクレームを受けないよう対応する
古家付き土地の売却にあたっては、近隣住民との関係にも配慮が必要です。特に過去に隣人とトラブルがあった場合、その内容を買主に伝えていなければ、売却後に苦情が再燃する可能性があります。また、売却後に行われる建物の解体工事では、騒音や粉じん、ごみの処理などをめぐってクレームが発生し、近隣の印象を悪化させてしまうこともあります。
事前に簡単なあいさつや説明をしておくだけでも、周囲の理解を得やすくなるでしょう。売主としては、物件だけでなく地域との関係性も含めた誠実な対応を心がけることが、信頼構築につながる大切なポイントです。
古家付き土地を売却する3つの方法
古家付き土地を売却する際は、物件の状態や費用負担、買主のニーズなどを総合的に踏まえて、どのように建物を扱うかを決めることが大切です。ここでは、トラブルを避けながら古家付き土地を売却する3つの方法を解説していきます。
古家を解体して更地として売却する
最も一般的な選択肢は、古家を解体して更地にしたうえで売却する方法です。建物がない分、土地の活用イメージが明確になり、住宅の新築を考えている買主にとって検討しやすい状態となります。
整地された土地であれば、購入後すぐに建築に取りかかれる点も好印象につながります。ただし、解体費用は売主が負担することが一般的で、木造住宅でも100〜200万円程度がかかるケースが多いです。
さらに、1月1日時点で建物が取り壊され、更地になっている場合は、土地にかかる固定資産税が高くなる点にも注意が必要です。住宅が建っている土地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税の課税額が最大で6分の1に軽減されます。
しかし更地になるとこの特例が使えず、土地本来の評価額に基づいて課税されるため、実質的に数倍になるケースもあります。こうしたコスト負担を踏まえたうえで、買主のニーズや売却スピードを重視する場合には有効な方法といえます。
古家を残したまま売却する
古家をそのまま残した状態で売却する方法は、解体費用をかけずに済むという点で、売主の初期負担を抑えられるのがメリットです。この方法では、建物の価値をほとんど考慮せず「古家付き土地」として扱われることが一般的です。
買主が将来的に建て替えやリノベーションを想定している場合でも、目的に応じて柔軟に検討できる点が特徴です。一方で、建物の老朽化が進んでいると買主の印象が悪くなり、売却に時間がかかるケースも見受けられます。
買主が解体費用を見越して価格交渉をしてくる傾向があるため、当初の希望額よりも値引きされることを想定しておくことが必要です。手間や費用を抑えつつ、買主に解体判断を委ねるというスタイルは、条件が合えば効率的な売却方法といえるでしょう。
中古住宅として売却する
古家に一定の使用価値が残っている場合は「中古住宅」として売却する選択肢もあります。居住可能な状態であれば、リフォーム用の住宅を探している個人や、投資用・賃貸用物件を探している買主層にもアプローチが可能です。
売却前に簡易な清掃や補修を行っておくと、見た目の印象が良くなり、内覧時の評価が高まります。ただし、1981年に改正された「新耐震基準」などの現行の建築基準法に満たない可能性があり、耐震性能や老朽化した設備が懸念されることもあります。
そこでインスペクション(建物状況調査)を行うと、必要な修繕内容が明確になり、価格交渉の材料となることもあるでしょう。建築士や住宅診断士(インスペクター)といった専門家に依頼すれば、建物の状態を客観的に評価でき、買主からの信頼性も高まります。
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まとめ:注意点を把握して古家付き土地の売却トラブルを回避しよう
古家付き土地の売却では、建物を「残す」か「解体する」かによって売却方法が大きく変わり、価格や売却スピード、費用負担にも差が出ます。さらに、契約不適合責任を回避する特約の設定や土地の境界確認など、通常の土地売却よりも確認すべきポイントが多く存在します。こうした点を事前に押さえておくことで、売却後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
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