
自宅を売却しようと不動産会社に査定を依頼する際「どこをチェックして金額を算定しているのか」疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。実際に現地で不動産を査定する際には、立地条件や築年数、外観、内装など7つのポイントで評価されます。
事前にこれらのチェックポイントを把握しておくことで、査定結果への理解が深まり、清掃や整理整頓、簡易的な修繕など部分的な対策も可能です。本記事では、家の査定方法や査定時のチェックポイント、査定に失敗しないためのコツなどを詳しく解説します。
目次
家の査定方法は2種類
不動産査定は通常、以下の2つの方法で段階的に行われます。査定の全体像を把握するために、まずはそれぞれの特徴を確認しておきましょう。
- 簡易査定
- 訪問査定
それぞれ詳しく解説します。
簡易査定(机上査定)
簡易査定は、以下のような物件の基本情報をもとに査定する方法で、現地を訪れずに資料やデータのみで行うことから机上査定とも呼ばれます。
- 所在地
- 建物の種類
- 築年数
- 面積 など
依頼者がこれらの情報を提供すると、不動産会社は周辺の取引事例や地価データから、おおよその売却見込み額を算出します。「まずはざっくりとした価格を知りたい」という方や「売却して利益が残るのかが気になる」といった方に適した査定方法です。インターネット上で24時間いつでも依頼でき、早ければ当日中に結果が得られるのが大きなメリットです。
訪問査定(現地査定)
訪問査定は、実際に現地で土地や建物を確認し価格を算出する査定方法です。不動産は基本「一点もの」であり、日当りや周辺環境、室内・設備の細かな状態などの条件は、実際に物件を確認しないと判断できません。
訪問査定では、物件の詳細を専門家が実際に見て評価するため、簡易査定よりも価値を正確に把握できます。簡易査定でおおまかな価格をチェックして、売却を本格的に進める段階になったら訪問査定を依頼するのが一般的な流れです。
家の査定で「どこを見るのか」を7つのポイントで解説
訪問査定において、不動産会社の担当者が重点的にチェックする項目として主に以下の7つがあります。
- 立地条件
- 築年数
- 建物の外観
- 設備・内装
- 日当り・景観
- 土地
- 周辺環境
これらのポイントを事前に把握しておくことで、査定結果についてより納得のいく理解ができるでしょう。
立地条件
物件がどのような場所に建っているかは、査定価格を決める重要な要素の1つです。具体的には、以下のような項目が重視されます。
- 最寄り駅からの距離
- 主要道路へのアクセス
- 商業施設や学校、病院などの生活利便施設への近さ
- ハザードマップ上の位置づけ(浸水や土砂災害のリスクなど)
立地は購入希望者が重視することの多い条件の1つであり、査定額にも影響しやすいです。また、あとから変更できない要素でもあることから、物件の長期的な資産価値を左右するポイントになります。
築年数
物件の築年数は、査定額を決める際の重要な要素で、古くなるほど価格も下がる傾向にあります。国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で、構造別の住宅の耐用年数を確認できます。例えば、同表には木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますが、居住用で適用されるのは1.5倍の33年です。
ただしあくまでも税法上の減価償却計算のための目安であり、実際の市場での査定額は立地や建物の状態、需要などの要素によって異なります。法定耐用年数を超えていても、メンテナンスが行き届いていて十分な資産価値を保持している物件も多く存在します。
建物の外観
建物の外観では、以下のようなポイントが重要になります。
- 外壁・屋根の状態
- 基礎の状態(クラックなど)
- 塗装の劣化
- 建物の傾きの有無
外観は家の顔であり、購入希望者が最初に目にする部分でもあるため、査定担当者も特に注意深くチェックする項目です。例えば、塗装の剥がれや木材の腐食、雨漏りの痕跡などがあると査定額に影響します。また建物の傾きは重要なポイントで、発見された場合には建物全体の大掛かりな補修工事が必要になるため、査定額への影響も大きくなります。
設備・内装
住み心地に直結する設備・内装では、以下の要素が査定のポイントとなります。
- 間取りや広さ
- 生活動線
- 雨漏りやシロアリ被害の有無
- 水回り設備のグレード・状態
- 設備の新しさ・機能性
- 壁紙やフローリングなど内装の状態
例えば水回り設備(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)は、使用頻度が高く劣化しやすい箇所であり、生活に欠かせない設備であるため、査定時には入念にチェックされる可能性が高いです。水回りに限らず、グレードが高く新しい設備であれば高評価になりやすいため、リフォーム履歴があれば積極的にアピールしましょう。
日当り・景観
査定の際には、日当りや景観も重要な評価ポイントになります。例えば、一般的に日当りの良い南向きの物件は、高く評価される傾向にあります。また、窓からの眺望や景観の良い物件であれば、付加価値としてプラス査定になる可能性が高いです。
一方で、周辺建物による日影の影響がある場合はマイナス要因となります。マンションの場合は、階数やベランダの方角、角部屋かどうかも重要です。自然光が十分に入る明るい住環境は、多くの購入希望者が重視する条件であるため、査定においても注目される項目です。
土地
一戸建ての場合は、建物だけでなく土地の状態も査定対象となり、以下のようなポイントが重要になります。
- 形状や大きさ
- 接道状況
- 境界の状態
- 隣地との間のブロックや擁壁の状態
- 都市計画における用途地域や建ぺい率・容積率などの法的制限
- 土地の高低差や地盤の状態
- 土地の権利関係(所有権・借地権)
土地の形状は、正方形や長方形などの整形地のほうが評価は高くなりやすく、旗竿地や狭小地、いびつな形の土地などはマイナス評価になりやすい傾向があります。接道については、前面道路の幅員や間口の広さが重要です。
接道状況によっては再建築不可物件となり、新たに家を建てられないケースもあるため、その場合は大幅な減額要因となります。土地の価格査定については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:自分で出来る土地価格査定!公示地価・路線価等で誰でも即算出可能
周辺環境
周辺の環境状態で査定に影響しやすいポイントは、以下のとおりです。
- 近隣の治安状況や街の雰囲気
- 周辺の騒音や臭気
- 公園や緑地の近さ
- 高圧電線の有無 など
例えば駅徒歩10分以内などの交通利便性や、日常の買い物に便利なスーパーやコンビニへの近さはプラスの評価を受けます。また、学校や公園などの子育て環境が近くに整っているかも、ファミリー向け物件では重要な査定ポイントです。一方で、幹線道路沿いの騒音や工場からの臭気などは、減額要因となる可能性があります。
チェックポイント以外で査定結果に影響する要因
査定額は物件そのものの条件だけでなく、自然の影響や経済的な動向からも影響を受けます。具体的には「一般的要因」と呼ばれ、以下の4つに分類されます。
- 自然的要因
- 社会的要因
- 経済的要因
- 行政的要因
自然的要因には、地震や台風、洪水などの自然災害リスクなどが該当します。例えば、豪雨による浸水や土砂災害が発生しているなど、ハザードマップで災害リスクの高いエリアは査定額が下がる可能性が高いです。
社会的要因には、人口動態や社会構造の変化などが含まれます。例えば、人口減少地域では不動産需要が低下するため、査定額も比例して低くなりやすいです。また、新しい鉄道路線の開通や、道路整備などの交通インフラの発達は、社会的要因として不動産価値の上昇に影響を与えます。
経済的要因とは、金利動向や景気の変動、物価上昇などのことです。住宅ローン金利が下がると購入しやすくなるため不動産価格は上昇し、逆に金利上昇時は価格が下落する傾向があります。また、建設資材の価格変動も新築住宅価格を通じて中古住宅の査定に影響します。
行政的要因とは、都市計画の変更や税制改正、建築規制の見直しなどのことです。例えば、住宅ローン控除の拡充や不動産取得税の軽減措置などの税制優遇は、不動産市場の活性化につながる可能性が高いでしょう。これらは個別の物件では変えられない外部要因ですが、不動産市場全体に関わるため、査定額に影響を与える重要な要素となります。
家の査定で失敗しないための3つのコツ
家の査定で失敗しないためには、以下の3つのコツを押さえることが重要です。
- 物件の魅力を伝えられるように準備しておく
- 家の状態を正確に伝える
- 査定額と実売価格は異なる可能性があると理解しておく
事前の準備と正しい知識があれば、より満足のいく結果を得られるでしょう。
物件の魅力を伝えられるように準備しておく
査定で良い結果を得るためには、物件の魅力を効果的に伝える準備が欠かせません。実際に住んでいるからこそわかる、以下のような魅力的なポイントを整理し、査定担当者にアピールしましょう。
- 周辺環境の良さ(静かな住環境、買い物の便利さなど)
- 設備の特徴(床暖房、食洗機など)
- リフォーム履歴
- 近隣との良好な関係性 など
また、査定時の印象を良くするためには、清掃・整理整頓を徹底することも重要です。特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)や収納スペースなど、普段見えにくい部分まで清掃しておくことで、管理の行き届いた物件であることをアピールできます。
庭や外構部分の手入れも忘れずに行い、全体的な管理状態の良さを印象づけましょう。事前の準備により、査定担当者に物件の価値を正しく理解してもらえると、高評価を得られる可能性が高まります。
家の状態を正確に伝える
物件に不具合がある場合は、査定の段階で正直に伝えることが重要です。隠れた劣化や不具合を知りながら売却してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があるためです。引き渡し後に問題が発覚した場合、契約不適合責任により買主から損害賠償や補修費用の負担を求められる恐れがあります。
また、不動産会社との信頼関係も損なわれ、売却活動に悪影響を与える可能性もあります。正直に伝えることで適切な査定額の算出ができ、結果的にスムーズで安心できる売却につながるでしょう。
査定額と実売価格は異なる可能性があると理解しておく
査定額はあくまでも売却価格の目安であり、実際の売却価格とは異なる可能性があると理解しておきましょう。査定結果は売却価格を保証するものではなく、市場の変動や売却活動のタイミングによって価格が変わります。
そのため、売却を開始する時期の市況や競合物件の状況、購入希望者からの値下げ交渉などにより、査定額より低い価格で売却するケースは珍しくありません。実際の売却活動では、購入希望者が値下げ交渉をしてくることが多く、売主の多くは値引きすることを見込んで売り出し価格を設定しています。
査定額は参考として考えて、売主の希望と市場動向を踏まえて不動産会社と相談しながら現実的な価格設定を行うことが重要です。以下の記事でも不動産売却を成功させるコツを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:初心者歓迎!不動産売却成功の【7つのコツ】と失敗しないノウハウ集
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自宅や実家の売却でお悩みの方は、以下の記事でケーススタディも含めて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:自宅や実家の売却の悩み―土地として売るか?中古戸建として売るか?
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また、自宅や実家の売却でお悩みの方は、以下の記事でケーススタディも含めて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:家の査定で見られる7つのポイントを押さえて納得の売却を実現しよう
家の査定には簡易査定と訪問査定があり、売却を本格的に検討する際は、不動産業者に物件を実際に確認してもらう必要があります。訪問査定では、以下の7項目が重点的にチェックされます。
- 立地条件
- 築年数
- 建物外観
- 設備・内装
- 日当り・景観
- 土地
- 周辺環境
立地や土地、周辺環境などは人の力では変えられません。しかし住人だからこそ知っている物件の魅力をまとめたり、清掃や整理整頓を十分に行ったりすることで、査定に好影響を与えられる可能性があります。また、専門的な知識と豊富な経験を持つ不動産会社に相談することで、スムーズな売却を実現できるでしょう。